患者さんから時々「味が分かりにくい」「食べ物がおいしく感じられない」などの訴えをお聞きしますが、最近この味覚障害の原因として亜鉛欠乏症が指摘されています。
亜鉛は魚介類や、肉、卵をはじめとした食物の中に微量含まれており、亜鉛が不足することで色々な体の不調が現れてきます。 味覚障害、口内炎、食欲不振のほかに、皮膚炎や床ずれなどの皮膚の病気にかかり易くなったり、傷の直りが悪くなったりすることも亜鉛の欠乏が原因の一つといわれています。
亜鉛の塗り薬は皮膚病の治療薬として古くから用いられ、このことからも亜鉛と皮膚とは密接な関係があることが想像されます。 亜鉛の欠乏で発育・成長が遅れたりすることもあります。
更に、亜鉛は胃の粘膜を保護する働きがあり、胃潰瘍の薬として実際に用いられています。 食事をバランスよく食べれば、通常亜鉛欠乏症の心配は無いと思いますが、インスタント食品をはじめとした偏った食事には注意が必要です。
最近の環境破壊による土壌の変化により土地がやせ、そのために食物の亜鉛含有量が減少して、ひいては亜鉛欠乏症の原因の一翼を担っているのかも知れません。
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